第21章 ネクストステージ
そうこうしている内に綺羅羅が動いた。
あの表情の変化だけでここまで見抜かれるなんて初めてだ。
バレたなら、攻めるでしょ……!
床を踏んで跳ぶと、近くに止めてあった乗用車のボンネットに着地し、すぐに離れる。
すると乗用車が勢いよく浮き上がって飛んできた。
伏黒の脇を通り過ぎた車の助手席のドアには「★Imai」の文字が……
「パンダ先輩!!」
同じくImaiの星が刻まれているパンダに激突する。
「問題ない!オマエは星を探せ!!」
乗用車を受け止めたパンダはふんっと反対方向に投げ飛ばす。
それを見た伏黒は思わずあ、と声を上げた。
「投げちゃ駄目ですよ!」
案の定、投げた車はパンダの顔面にぶつかってくる。
「先輩と同じイマイの星を車につけたんです。俺と玉犬の時みたいに投げても戻ってくるか、引っ張られますよ!」
仕掛けを探すために走りながらパンダにぶつかった車に目を凝らす。
星をつけるには多分対象に触れなければならない。
でも俺も脱兎も綺羅羅さんに触れられていない……!
触れられたのは玉犬だけ。
つまり、綺羅羅さんは物ではなく呪力に星をつけてる!
扉や車のような物に星をつけるには、あらかじめ誰かしらの呪力を篭めなければならないんじゃないのか……!?
やっぱりだ、車から綺羅羅さん以外の呪力の残穢。
「渡辺、綺羅羅さんは呪力に星をつけてる!触られんなよ!」
「うん……!」
なずなが綺羅羅に向かっていくのを確認して伏黒は周囲に目を走らせる。
術式範囲が広くないのであればもう1つの星の残穢も……
モニタールームとは反対側、非常階段の横の駐車場、その輪止めに……
「★Mimosa」の文字。
あった!5つ目の星!
俺達4人以外の残穢はもう見当たらない。
綺羅羅さんは既に自分の呪力に星をつけていて、物に俺と同じアクルックスの星をつけるために自身の呪力は使えないから、さっきの車のように俺に物は飛ばせない。
すかさずミモザの輪止めに触れる。
俺の読みが正しければこれで綺羅羅さんに近づけ……
しかし、予想に反して伏黒に車のドアや無数の輪止め、コンクリートの破片が飛んできた。