第21章 ネクストステージ
屋上を埋め尽くす勢いで出続ける脱兎は綺羅羅には近づけない。
凄い量……
何のつもりかな……
私の術式は呪力にマーキングするから、式神は術師と同一に扱われる。
このままだとさっきのワンコみたいに引き寄せられた自分の式神に押し潰されて窒息するよ。
と思ったら突然兎が溶けてなくなった。
伏黒はいつの間にかロフト部分に移動している。
「パンダ先輩、脱兎どうでしたか!?」
「俺の次にカワイかった!」
そういうことを聞いているんじゃない。
「何に近づけて、何に近づけなかったか聞いてんですよ!」
「!、俺とそっちの2階は問題なく行けてた!綺羅羅とモニタールームの扉はダメだ」
「パンダ先輩、体のどこかに星マークと名前がついてませんか?」
「え……?」
「あ!お尻に何か書いてありますよ」
なずなが指差した先を寝転がって確認すると、確かにそれらしき文字が。
「I……mai、イマイ!?今井って書いてある!」
俺もどこかに……
左右の袖を捲ってみてもそれらしいものはない。
だが、裾を捲るとちょうど臍の辺りに★Acruxの文字を発見した。
「あった!」
脱兎と同じアクルックス……!
玉犬にもあるんだろうな。
まだ何も分かりはしないが、ここはカマをかける……!
「分かりました、この術式のタネは星座です」
「星座?」
横目で確認したが、綺羅羅は動じていない。
「モチーフの星座は……“南十字”」
そこまで言うと、明らかに綺羅羅の顔色が変わった。
その表情を見た伏黒が瞠目する。