第21章 ネクストステージ
外から屋上の様子を見ていたなずなにも異変が起こっていた。
パンダと伏黒が予定通り合流したのを確認して、呼び出されるのを待っていると、予想外なことに虎杖を案内した女性が戻ってきた……と思ったら、鵺がいきなり屋上に向かって飛び立とうとしたのだ。
「ちょ、鵺!どうしたの!?」
まだ連絡がないのに屋上に行こうとしてる?
なんで!?
咄嗟に鵺の脚を右手で掴むと強い力で引きずられたため、近くにあった細い木の幹を左手で掴んで飛んでいこうとするのをなんとか阻む。
だがグイグイと引っ張られ、長くは保ちそうにない。
どうしていきなり……!
そこで初めて鵺が翼を広げていないことに気づく。
……違う、飛ぼうとしてるんじゃない!
鵺が引っ張られてる!
よく見ると戸惑う鵺の頭の上に小さく光る何かがあった。
さっきまでは無かったからきっとあれが原因だ。
しかし、両手が塞がっていては光る何かを調べることも壊すこともできない。
屋上は!?
なずなが目を凝らすと戦闘が始まっていた。
このまま鵺を離したら自分はここに取り残されて屋上に助けに入れないし、まして秤先輩が逃げようとした時に足止めもできない。
鵺に掴まって屋上へ飛んだ方が何もできなくなるよりはマシ……!
悩む間もなくなずなは木の幹から手を離した。
誤算だったのは、引っ張られるスピードが予想以上に凄まじかったこと。
目も開けていられない程の速さで屋上へ飛んでいく。
何とかうっすら目を開けると、モニタールームの前にいる伏黒が見えた。
このままじゃ鵺諸共ぶつかる!
「よっ、避けてーっ!!」
伏黒と目が合った途端、鵺の脚を掴んでいた感覚がなくなり、体勢を立て直すこともできずに伏黒の胸に飛び込んでいた。