第21章 ネクストステージ
別のフロアでは―
「おい、見ろよ」
見回りの男2人にパンダが愛想を振りまいていた。
タイヤを抱え、つぶらな瞳でアピールする姿は、ゴロツキの男達といえどハートをくすぐられる。
1人が口にしようとしていた魚肉ソーセージに目を落とし、再びパンダを見た。
「……ギョニソ食うかな」
「いやアイツ、トーナメントに出てたろ」
その隙をパンダは見逃さない。
一瞬で距離を詰め、1人の男の鳩尾を蹴って壁に叩きつけ、もう1人の鳩尾にも膝蹴りを入れる。
ついでに男が持っていた魚肉ソーセージも奪った。
「ギョニソはもらってくぜ」
ひと仕事した後のご褒美にはちょうどいい。
そのままフロアの端にある非常階段から上に向かう。
「非常階段はカメラなーし♪」
バリケード等もなく、スムーズに屋上まで辿り着き、ガチャリとドアを開ける。
「よっ」
ルンルンと屋上に出ると既に伏黒が待っていた。
「パンダ先輩、本当に大丈夫ですか?これが原因で後でモメたり……」
「ダイジョブダイジョブ〜♪」
「……」
本当に大丈夫か?
「さっさとドア前を固めちまおう」
「突入前に渡辺が虎杖をモニタールームに連れてきたのは女性だって言ってたんですけど、綺羅羅さんの他に秤さんの傍にいる人っているんですか?」
「?、それは知らんなぁ。秤は割と抜け目ないところがあるから、あまり傍に人は置かないと思うぞ」
2人がモニタールーム前に移動しようとしたその時、1フロア下の駐車場から綺羅羅が歩いてきた。
綺羅羅の方もこちらに気づく。
「パンダちゃん!?」
「げっ、綺羅羅!」
秤と一緒じゃなかったのか……!?