第21章 ネクストステージ
11月11日 0:58―
虎杖から「1時ちょうどに入れそう」とメッセージが入り、バレないように直後に削除される。
それを見た伏黒達も動き出した。
パンダと伏黒は立体駐車場近くまで移動し、虎杖が屋上にあるモニタールームに入るのをなずなが確認でき次第、突入を開始する。
なずなは2人が屋上に出る時に人がいないかどうかまで確かめた後、鵺で飛んでくる算段だった。
『今、虎杖くんが屋上に出てきたよ。一緒にいるのは女の人……みたいだけど……』
女性……?
もう1人の3年は男だと聞いている。
他にも秤さんに近しい人物がいたのか?
でもそれならパンダ先輩がそう言うはず……
なずなの報告を聞きながら、伏黒が訝しむ。
ただ、虎杖がもう動いている以上、引き返す訳にもいかない。
『虎杖くん、モニタールームに入ったよ。女の人は入らずに下に戻るみたい』
「分かった、突入開始する。屋上に出る直前にまた連絡する」
モニタールームのドアがガチャリと閉じたところで電話を切った伏黒とパンダが目を合わせて小さく頷き、非常口から駐車場内に入った。
二手に分かれ、伏黒は見張りの男の影に潜み、男が防犯カメラの死角に移動したのを見計らって背後からチョークスリーパーを仕掛ける。
音もなく気絶させ、素早く両手の親指を結束バンドで縛り、起きても騒がれないよう口をガムテープで覆う。
柱に身を隠して次の見張りが来ると、すかさずその影に入り、足元から柱の向こうに引き摺り込み締め上げて落とした。
「フーッ」
わずかに呻き声を上げられたが、防犯カメラはこんな小さな音を拾わないし、ここなら映ってもいないだろう。
防犯カメラに注意しながら非常階段まで走り、そこから一気に上に昇る。
特に邪魔も入らず、屋上に出るドアの前に着くとピタリを身を寄せ、外の気配を探りつつなずなに連絡を取る。
「渡辺、屋上の様子はどうだ?」
『誰もいないよ。さっきの女の人も下に行ってから戻ってないし、虎杖くんや秤先輩もモニタールームから出てない』
「よし、じゃあ俺は屋上に出る。パンダ先輩と合流したら、オマエも鵺で飛んで来い」
『分かった』
最低限の会話で通話を切り、伏黒は屋上へ出た。