第21章 ネクストステージ
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『さぁ張った張ったーっ!よぉござんすか!?よぉござんすねぇ!?』
爆音のBGMが流れる別室でモニターからジョンの声が聞こえ、ベットが締め切られると、すぐに試合が開始される。
試合を観戦する2人。
その内1人が気だるげにソファの背もたれに頭を置いた。
「……熱が引いていくのが分かるぜ」
隣に座っていたもう1人がのけ反った彼の顎から首筋にかけてツゥとなぞる。
「どうして?金ちゃん」
「“運”てのは試されてナンボだろ。初めから勝ちが見えてる賭けはつまらん。野良術師でパンダに勝てる骨太なんてそういねぇからな」
そう言ってモニターを確認しようとしない彼、もう1人は画面の向こうの試合を見て目を丸くしていた。
「そうでもないみたい」
画面の向こうでパンダと互角に渡り合っている新参者。
「あん!?」
予想外の試合展開に男は思わずソファから飛び起きていた。
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試合会場では虎杖が縦に横にパンダの攻撃を躱しながら打撃を入れていた。
白熱した試合に実況のジョンも驚いている。
「おおお!?コイツは確実に俺の実況人生ベストバウトだぜ!まだ実況始めて半月だけどね!!」
もちろん虎杖もパンダも本気でやり合ってはいない。
そう見えるように立ち回っているだけ。
お互いの攻撃を捌きながら情報交換する。
幸いBGMがこれでもかという程の音量で流れており、話していても誰にも気づかれなかった。
「パンダ先輩は秤先輩に会えた?」
「いや、知った仲だから警戒はされてないが、避けられてる。あとはもう1人の3年の術式が問題でな……オマエは高専生ってことは隠してるんだろ?」
「うん」
「よしよし、後は分かるな?」