第21章 ネクストステージ
2人がなずなと分かれた場所に戻ってくると、藪の中からなずなと玉犬が出てきた。
「2人とも、どうだった……?」
「虎杖が今夜の賭け試合に出場することになった。潜入できそうならそれと並行して俺も潜入する。そっちは手薄そうな場所はあったか?」
「うん、伏黒くん達が入ったゲートのちょうど反対側に非常口があったよ。中まで見えなかったけど、ゲートより人の気配は少ないと思う」
外から周囲を見張っている者もおらず、夜になれば潜入できそうだと伝える。
「よし、じゃあ俺は虎杖の影に潜って駐車場内に入って秤さん側の関係者を探る。中に入っちまえば観客に紛れられるしな。出る時に渡辺が見つけた非常口を使うと思う」
「私はどうすればいい?」
「もし交渉が決裂したら、秤さんと戦うか逃げられる。どっちにも対応できるように外にいてくれ」
もし戦いになれば鵺を使って駐車場に突入、逃げるようなら逃げ道に先回りして足止めする。
鵺は人を乗せて長く飛べないので、なるべく機動性を落とさないためにも一番体重の軽いなずなが適任だろう。
「事態が動いたら俺が連絡するから、それまで鵺と待機だな」
「分かった」
「あと他に何かあるか?」
「もし俺が先に秤先輩と会えたら、正直に協力してくれって頼めばいい?……あ、でも高専関係者ってバレるとまずいんだっけ?」
「ああ、協力を求める以上どこかで高専の話は出さないといけねぇけど、それはある程度秤さんとまともに話せるようになってからだ。順番としては最後がいい」
「それじゃ、それまでは高専のことは知らないフリ?」
「あからさまに知らないことをアピールする必要はねぇけどな」
「オッケー」