第21章 ネクストステージ
「伏黒危ねーなぁ、ハッタリが過ぎるって」
来た道を戻る道すがら、虎杖は伏黒を咎める。
「そうでもないだろ。呪詛師も参加してるなら、それなりに入れ替わりもあるはずだからな。それより……」
「ああ、いるな。防犯カメラで俺達を見てたってことは、高確率で秤先輩はあそこにいる。リモートの可能性もなくはないけど」
「虎杖は試合に出場して内側から探りを入れてくれ。俺もその間にあの駐車場に潜入する……かも」
「かも?」
「俺は多分泳がされてる。俺の潜入がバレた時点で虎杖への信用もゼロからマイナスになって、俺達が秤さんと接触する機会もなくなる」
「じゃあそん時はもう力づくだな」
「それは本当の最後の手段だ。俺達はあくまで秤さんに協力をお願いしに来ている立場だ。今後の関係に響く事態は極力避けたい……多少は仕方ないけど」
仮に力づくとなった場合、果たして自分達で秤を押さえられるのかという問題も出てくる。
返り討ちにされれば秤の協力はおろか、自分達まで負傷して回游参加が遅れる事態にもなりかねない。
「正直、今晩俺は動くべきじゃないと思う。でも津美紀の回游への宣誓期限まで時間は無駄にしたくない」
「今、10日の17時……期限まで9日か。ここまで来るのに思ったより時間かけちゃったからなぁ」
まさか道中であれほど呪霊の相手をすることになるとは思わなかったし、交通インフラが広範囲で止まっていたり、動いていても最終便が早まっていたり……
当初は昨日の内にここに着く算段が1日遅れてしまった。
「だから俺も今晩潜入して秤さんを探るが、ヤバそうならすぐ退く。そういう意味での“かも”だ」
「了解」