第21章 ネクストステージ
跡地周辺は閑散としており、立体駐車場もあちこちに工事のための立入禁止の柵が立てられ、駐車場としてはもう使われていないことが窺える。
だが、駐車場内には人の気配があった。
入口ゲートに向かいながら、虎杖は伏黒に質問する。
「秤先輩ってそもそも協力してくれるような人なの?」
「どうだろうな、やってることがやってることだし、2年の先輩は皆、秤さんのことろくでなしって言ってる……でもあの乙骨先輩が自分より強いって言ってるんだ。戦力として絶対欲しい」
伏黒が入口ゲートのバーを持ち上げて中に入ると、早速ガタイのいい男に呼び止められた。
その後ろにはもう1人スーツ姿ノーネクタイの小柄な男がいる。
どちらも一目でガラが悪いことは見て取れた。
「帰れガキんちょ、ここは溜まり場には向かねぇよ。1、2の3で回れ右だ。それ以外の選択肢は俺に殴られる」
「金がいる。ここでやってる賭け試合に出場させてくれ」
真顔でそんなことを言い始めた伏黒に虎杖は「ん?」と疑問符を浮かべる。
と次の瞬間、男が伏黒の顔面に拳を振り下ろしてきた。
だが、それには虎杖も伏黒も動じない。
男の拳は当たることなく、伏黒の目前でピタリと止まる。
「ルールその1、賭け試合について口にしてはならない。答えろ、誰に聞いた?オマエを殴るのはその後だ」
「名前は知らない。殺したから」