第21章 ネクストステージ
きっと拒絶されてはいない、でもやはり彼女の口から承諾の返事が聞きたくて、少々意地悪く質問を変えてしまう。
「嫌か……?」
「っ、い、いやじゃないよ……んっ」
か細い返事を遮るように唇を塞ぐ。
ふわふわと蕩けてしまいそうな柔らかさ、ずっと感じていたいような、けれどその奥も暴きたいような……
後者に天秤が傾きかけたところで、これ以上はいけないと理性のブレーキがかかり、名残惜しさを感じながら唇を離す。
閉じていた瞼を開けると至近距離でなずなと目が合った。
顔を真っ赤に染め上げ、下から見上げてくる潤んだ瞳。
初めて見るわずかに色香を感じさせる姿。
一瞬でズクンと身体の芯が熱を持つ。
ヤバイ……
今まで見たことないこの顔はなんつーか……すごく唆る。
だが無理にこの先に事を進めようとすれば、彼女を傷つけることも明白なので、首をもたげた衝動を無理矢理抑えつけ、ドアノブに手を掛けた。
「……じゃあ、また明日」
「う、うんっ、また明日」
伏黒が部屋に戻り、風呂から上がった虎杖から飲み物を買ってないことを不思議に思われ、焦ったのと同じ頃、なずなはキスの感触がまだ残る自分の唇をずっと指で触り、とても眠れたものではなかった。