第21章 ネクストステージ
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駅前のビジネスホテルの一室でベッドに腰掛けた虎杖が伏黒に笑いかけた。
「伊地知さんに頼んでよかったな」
その言葉に伏黒も頷く。
伊地知に連絡して事情を話したところ、高専生が宿泊の伴う任務に就いた時に学生だけでも泊まれるように宿泊施設側に頼むことができるということで、ホテルの名前と連絡先を伝えたら、宿泊まで手配してくれた。
そのためホテルの受付もすんなり通れたのだ。
当然ながら男女別なのでなずなは同じ階の別室にいる。
「なぁなぁ、晩飯どこ行く?」
「……呑気だな、オマエ」
「気張りすぎても疲れんだろ?今日できることはやり切ったんだし……あ、渡辺にも何食いたいか聞かねーと」
虎杖はすっかり寛ぎモードでなずなに電話をかけ始めた。
「……渡辺?晩飯どっか行こうと思ってるんだけど、何か食いたいものある?」
その切り替えの早さを伏黒は少し羨ましく思う。
自分はじっとしていても死滅回游のこと、津美紀のことが頭から離れず、常に休んでいる場合ではないと考えてしまう。
虎杖の言う通り、今日できることはもうやり切ったというのに……
「……オッケー、オムライスかドリアね、もうちょっとしたらそっち行くわ」
うだうだと考えている内に電話が終わったようだ。
結局夕食に食べたいものを決めたはいいが、ホテル近辺の飲食店に限ってしまうと途端に選択肢が狭まってしまい、ファミレスに落ち着いた。