第21章 ネクストステージ
こちらにパトカーを寄せてきたのは中年の警察官だった。
といっても運転席にいるのは若い警官。
中年の警官は助手席の窓を開けて虎杖達に警告していたのだ。
3人は促されるままにパトカーの後部座席に乗り込む。
「この辺りに避難勧告が出てるのは知ってるよね?なんでこんな所に来たの?本当に危ないんだから肝試しとかは駄目だよ」
「す、すみません、でも遊びで来たんじゃなくて……ここに家があって、心配で様子を見に来たんです」
相変わらず警官と話すのは苦手ななずなが緊張しながら答える。
オドオドしているなずなを見て警官も話を信じたようだ。
「家に何か置いてきちゃったの?ペットとか」
「は、はい……」
あまりに緊張しすぎて警官の質問にそのまま頷いてしまった。
ど、ど、どうしよう……
咄嗟に「はい」って言っちゃった。
ペットなんて今まで飼ったことないのに……!
「そうか、避難所はペット禁止だもんな。そりゃ心配だ」
当然話題はそのペットに移るわけで……
「何を飼ってるの?」
「え、えーっと……その……」
嘘をつき慣れてないのが仇となり、答えに詰まる。
緊張で頭が回らなくて、答えが出てこないために余計に緊張していく悪循環、なずなの頭の中ではぐるぐると同じ単語が回っていた。
ペット……ペット……
どうしよ、ペット……
何を飼えばいいの、私……
お、落ち着いて、今まで見たことある動物で考えれば何か……
そこで真っ先に思い浮かんだのはいつも助けてくれたあの動物だった。
「わ、ワンちゃんです!」