第21章 ネクストステージ
幸い厄介な術式や素早い動きをするものではなかったため、3人で協力してすぐに祓い終わった。
呪霊が消えるのを確認していると、背後からクラクションの音が。
驚いて振り向くと、パトカーがこちらに向かってきていた。
「君達、何してるんだ!?ここは危ないから早く乗りなさい!」
パトロール中と思しき警察官が窓から顔を出し、こちらに来るよう手で合図する。
ど、どうする……?
素行不良を疑われて補導でもされたら時間のロスどころじゃない。
同じことが頭に浮かび、固まる虎杖となずな。
唯一伏黒だけが冷静に2人の肩を叩いて耳打ちする。
「渡辺、鬼切を鞘ごと俺の影に落とせ。虎杖が間にいるからあっちには見えてない。警官に何か聞かれたら、ここにある家の様子を見に来たって言え。俺達は渡辺が心配でついて来たってことにしよう」
「逃げなくて大丈夫か?」
「逆に怪しまれるだろ。それに言いようによっては機能してる最寄駅まで乗せてくれるかもしれねぇし」
「私、せ、責任重大……?」
「大丈夫だ、何か聞かれたら俺もフォローする」
伏黒の言葉に頷き、虎杖が自然な動作を装って近づいてくるパトカーに正対すると同時になずなが素早く腰から鬼切を外して伏黒の足元へ落とす。
鬼切は音もなく黒い影に沈んだ。
これで3人とも傍目からは丸腰だ。