第21章 ネクストステージ
パンダが捕まったと聞き、夜蛾は総監部の牢を破って高専に向かっていた。
夜蛾の進む先、街灯の上に術師が立ちはだかる。
「呪骸も連れずにどこへ行くのですか?夜蛾学長殿」
「息子に会いに」
夜蛾は上着を脱ぎ捨て、戦闘態勢を取る。
行く手を阻む術師は夜蛾の返答の意味を掴みかねて眉を寄せたが、すぐに態度を戻した。
「死罪となったあなたが唯一助かる方法を教えましょう。完全自立型人工呪骸、その製造方法を今ここで明かせ」
「悟がいなくなった途端に強気だな」
「強気にもなりますよ。こちらには歴戦の術師がついている」
その一声に合わせたかのように夜蛾の左手の建物から人影が出てきた。
見知った者の気配に瞠目する。
「楽巌寺学長……!」
そこには愛用のギターを構えた楽巌寺がいた。
・
・
・
楽巌寺のギターは折れ、その目の前には胸に大きな十字傷を負って倒れた夜蛾がいる。
「学長殿」
最初に夜蛾を阻んだ術師が楽巌寺に声をかける。
息も絶え絶えの夜蛾から目を離さずに楽巌寺は指示を出した。
「後は儂に任せて下がってよい」
「御意」
術師の気配が完全に消え、2人だけになる。
静寂が辺りに満ちた。
楽巌寺が歩み寄ると、おもむろに夜蛾が口を開いた。
「……肉体の情報から魂の情報を複製するんです。その情報を呪骸の核に入力する。それだけでは駄目なんです。相性の良い3つの魂を宿した核を1つの呪骸に……お互いの魂を常に観測させるんですよ」