第21章 ネクストステージ
「とりあえず情報は整理できたな。あとはそれぞれの役割、由基さんと脹相はここに残って天元様の護衛、私はまず禪院家に戻って呪具の回収」
死滅回游に参加して平定するとなれば、備えを怠るわけにはいかない。
呪具もなるべく持ち込みたい。
もちろん高専にも呪具はあるのだが、渋谷事変の最中にある事情により使えない状態になってしまった。
真希は後から合流した乙骨、虎杖にその理由も説明する。
「悟が封印されて間もなく高専忌庫の呪具は加茂家と禪院家が持ち出してスッカラカンになっちまった。だが恵が禪院家当主になった」
「お!?」
「後で説明する」
虎杖が驚きの視線を向けた先、伏黒は少しばかり嫌そうな顔だ。
「お陰で禪院家の忌庫は漁り放題……で、その前に天元様」
「分かっている、組屋鞣造の工房だろう?」
「助かります」
組屋鞣造というのは交流会時に高専に侵入し、捕縛された呪詛師だ。
尋問の結果、人体を使った呪具の製作をしていたらしく、彼の工房には数々の呪具が残されているという。
伏黒が禪院家当主となったことで禪院家忌庫への立入許可は簡単に取れるが、そこに保管された呪具を持ち出すのは一筋縄ではいかない、というのが真希の考えだった。
自分の父親やいとこの直哉をはじめ、本家の面々は今回の当主決定を不服としないはずがない、真希が行けば確実に妨害してくる。
それが分かっているから組屋の工房から良さそうな呪具を拝借して武装を整えた上で禪院家に行く心積もりだ。