第21章 ネクストステージ
「硝子さんの読み通りだったか……逆に私みたいなのとか、術式持ってない術師はノーリスクだよな。パンダはどうなんだ?アイツ脳とかあんのか?」
こればかりはこの場にいないパンダ本人か夜蛾に聞かないことには分からない。
ひとまず置いておいて次の総則に移る。
3、非泳者は結界に侵入した時点で泳者となり、死滅回遊への参加を宣誓したものとみなす。
これに首を傾げたのはなずなだ。
「……あのこれ、始めから結界内にいる人はどうなるんでしょうか?渋谷の時は帳が上がって避難できましたけど、今回は死滅回游が終わるまで出られないんですか?」
死滅回游の結界は東京以外の都市にも張られている。
運悪くその範囲内に住居があり、巻き込まれた者は強制参加なのだろうか。
だが、そうすると“結界に侵入した時点”という定義も奇妙な気がする。
その点についても天元は答えを持っていた。
「少なくとも一度は外に出る機会を与えられる」
「マジ?」
「随分と親切ですね」
意外そうにする虎杖と伏黒。
「総則に1つも結界の出入りに関する条項がない。泳者に始め“結界から出る”という明確な目的を与えて、回游を活性化させるのが狙いだろう……泳者を閉じ込めるには泳者が“自ら望んで入った”という前提が重要だからね」
「猪野さんが言ってた結界の足し引きか」
ほぼ日本全国に跨る大規模な儀式のため、その分参加条件はシビアになったのだろう。
知らぬ内に参加していたでは儀式が成立しないのだ。
次の総則は羂索の言っていた“殺し合い”の根幹となるルールだ。
4、泳者は他泳者の生命を絶つことで点を得る。
5、点とは管理者(ゲームマスター)によって泳者の生命に懸けられた価値を指し、原則術師5点、非術師1点とする。
「総則に原則ってゴチャってすんな」
「……」
「伏黒?」
「いや、天元様、管理者っていうのは……」
「各泳者に1体ずつ憑く式神“コガネ”。コガネも正確に言えば“管理者”ではなく“窓口”だ。管理者は死滅回游のプログラムそのものと思った方がいい」
「?、ナルホド?」
管理者と謳っているが、個人を指しているわけではないということ。
ちなみに虎杖はあまりピンときておらず、首を傾げている。