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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第21章 ネクストステージ



しかし、もし本当に何の手立てもないのなら、天元が獄門疆“裏”を取り出した時点でそう告げているはず。

まだ何かあると踏み、九十九は片目をすがめる。

「手はあるんだろ?」

「ああ、死滅回游に参加している泳者の中に“天使”を名乗る千年前の術師がいる。彼女の術式はあらゆる術式を消滅させる」

「術式を……消滅させる?」

「そうだ、天使の術式なら獄門疆“裏”を開けることができる」

「ソイツは今、どこにいるか分かりますか?」

「東京の東側の結界だ。回游の結界は私を拒絶しているから、それ以上の情報はない。まずはそこから整理しようか」


今の天元は天地そのもの、日本全土で起こっていることを知覚できる。
九十九達がこの短時間で発見できたのは東京の結界のみだったが、これはほんの一部に過ぎなかった。


「全国の10の結界、それが日本の人間を彼岸へと渡す境界を結ぶ結界へと繋がっている」

結界があるのは北から青森県の恐山、岩手県盛岡市、宮城県仙台市、東京が東西2ヶ所、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、広島県広島市、鹿児島県桜島の10ヶ所。


そこで虎杖は以前新田から教えられたことを思い出した。

ー川や境界を跨ぐ、彼岸へ渡る行為は呪術的に大きな意味を持つっスー

「あ、八十八橋の時の……!」

日本を縦断するように走る結界を境界を結ぶ結界が跨ぐ形になるのか。



「北海道が入ってないのは呪術連の結界?」

北海道という広大な地に死滅回游の結界が一つもないことを尋ねた九十九に天元が頷く。

「そうだ、あの地は既に巨大な霊場として慣らしが済んでいる」

「さすがは試される大地」

「“彼岸へ渡す”と聞くと仰々しいが、日本にいる人間全員に呪いをかけて同化の前準備をしているのさ」



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