第21章 ネクストステージ
「そして6年前、獄門疆も羂索の手に渡った……」
「じゃあ死滅回游は何のために行われるんですか?」
尋ねる伏黒の声からは焦りが滲み出ている。
「同化前の慣らしだよ。星漿体以外との同化は不可能ではないが、現時点では高確率で不完全なモノと成るだろう。死滅回游は泳者の呪力と結界と結界で結んだ境界を使って、この国の人間を彼岸へ渡す儀式だ」
死滅回游で人類をより天元と同化しやすい形に慣らし、万全の状態で同化を開始するつもりなのだろう。
「だが、これだけの儀式を成立させるために羂索自身も“縛り”を負っているはずだ」
「その1つとして、死滅回游の管理者は羂索ではない」
しかし、これはこちら側にとっては不利だ。
羂索を殺しても死滅回游は終わらないのだから。
「泳者が全員死ぬか、泳者が全員参加を拒否して死ぬか、それまで死滅回游は終わらない。死滅回游の総則にある“永続”はあくまで儀式を中断させないための保険だよ」
「となると……」
「だね」
伏黒と乙骨が互いの顔を見合わせて小さく頷く。
死滅回游の総則の一つ、
6、泳者は自身に懸けられた点を除いた100得点を消費することで管理者と交渉し、死滅回游に総則を1つ追加できる。
これを利用するしかない。
「僕らも死滅回游に参加して、津美紀さんやゲームに消極的な人が回游を抜けるルールを追加するしかない」
「五条先生の解放も並行しましょう。あの人がいれば1人で全て片が付く」
「天元様、教えて」
それまで普通に答えていた天元が虎杖を制する。
「その前に誰が残るか決めてくれ」
これには九十九と脹相が前に出た。
「私が残る」
「俺も残ろう。悠仁には乙骨かこの女の協力が必要不可欠だろう。加茂憲倫……羂索がここに天元を狙って来るなら尚更だ。奴の命を絶つことが弟達の救済だからな」
「私はまだ天元と話し足りなくてね、いいかな?乙骨君」
「はい、僕はもう皆と離れたくないので……!」