第21章 ネクストステージ
「羂索の術師としての実力を考慮すると接触した時点で取り込まれるかもしれない。だから私の本体は今薨星宮で全てを拒絶している」
「その上で護衛を?」
「ああ、羂索は私に次ぐ結界術の使い手、薨星宮の封印もいつ解かれるか分からない」
「何故今なんだ、星漿体との同化を阻止してオマエを進化させ、呪霊操術で取り込み操る……羂索は宿儺とも関わりがあるようだった。少なくとも千年術師をやっている。何故!今なんだ!!」
「“天元”“星漿体”そして“六眼”、これらは全て因果で繋がっている」
九十九は思わず声を荒らげるが、天元はそれにも静かに答えるのみ。
「羂索は過去に二度、六眼の術師に敗れている。二度目の羂索は徹底していた、星漿体も六眼も生後1ヶ月以内に殺した。それでも同化当日に六眼と星漿体は現れた」
そこで羂索は大きく方針転換したのだ。
六眼を抹殺するのではなく、封印する。
そのために獄門疆の捜索を始めた。
封印さえ果たせば六眼に妨害されることなく、確実に星漿体を殺せる。
封印された六眼は死んだわけではないため、新たな六眼持ちが現れることもない。
因果の関係からか、六眼持ちは同時に2人は現れないのだ。
「だが12年前、予期せぬ事が起こった。禪院甚爾の介入だ」
天元の口から出た名前に真希がハッとする。
直毘人の言っていた名だ。
特級呪霊の領域に侵入して圧倒的な膂力で游雲を振るい、領域の主を祓った人物。
やはり禪院家の者だった……!
「天与呪縛のフィジカルギフテッド、その中でも特異な完全に呪力から脱却した存在だ。呪縛の力で因果の外に出た人間が、私達の運命を破壊してしまった」
その場には呪霊操術を持つ少年・夏油傑もいた。
羂索の意図しない形で獄門疆以外のピースが全て揃ったのだ。