第21章 ネクストステージ
死滅回游という儀式は羂索が目論む人類の進化、その前段階だと天元は考えている。
そして、その次に何をするつもりなのか。
「羂索の取る進化手段は、人類と天元の同化だ」
「!?」
「あれ?でも同化って……」
なんだっけ、ほら、アレと言い淀む虎杖に伏黒が答えた。
「星漿体にしかできないはずだ」
「以前の私ならね、12年前に進化を始めた今の私なら、星漿体以外との同化もできなくもない」
今度は脹相が首を傾げる。
「だがオマエは1人だろう、どうやって複数の人間と同化するんだ?」
「今、君達の目の前にいる私ですら私ではない。進化した私の魂は至る所に在る。言っただろう、天地そのものが私の自我なんだ」
個ではないから同化できる人数に縛られることはなく、故に羂索もこの方法を考えついたのだろう。
「私と同化した人間は術師という壁すら超える。そこにいてそこにいない新しい存在の形さ」
だがそうなると、今目の前にいる天元はなぜ個であるように振る舞えるのか。
「私には結界術があったから、進化後もこうして形と理性を保てている。だがもし人類が進化し、その内1人でも暴走を始めたたら世界は終わりだ」
何故だと問い詰める九十九に更に答える。
「個としての境界がないんだ。悪意の伝播な一瞬さ。1億人分の穢れが世界に流れ出る。先の東京が世界で再現されるんだ」
「何のためにそんなことすんだよ?」
「さぁね、これも言っただろう、私に人の心までは分からない」
「でもそれって天元様が同化を拒否すればいいだけじゃないっスか?」
「そこが問題なんだ」
真希の疑問に対して返答し、その内容も明かす。
「進化を果たした今の私は、組成としては人間より呪霊に近い」
それはつまり……
「私は呪霊操術の術式対象だ」
「!!?」
判明した深刻な事態に全員が息を呑んだ。