第21章 ネクストステージ
トンネルを抜けると、その先には九十九の予想に反して真っ白な空間が広がっていた。
どこもかしこも白く、壁や天井があるのかどうかさえ分からない。
唯一立っていられることから床だけは知覚できる、そんな現実離れした空間だった。
「なんもねぇ、これが本殿?」
「いや、私達を拒絶しているのさ」
虎杖が思わず口に出した疑問に九十九が答え、しかしすぐに別の可能性に思い当たった。
拒絶されているのは私達ではなく、私か……?
「天元は現に干渉しないが、六眼を封印された今なら接触が可能だと踏んだんだが……見通しが甘かった」
「……」
「伏黒くん……」
悔しげに眉を寄せ、言葉の出ない伏黒をなずなが心配そうに見上げる。
そんな2人に乙骨が声をかけた。
「戻ろうか、津美紀さんには時間がない」
天元に接触できない以上、ここにいても仕方ない。
全員が踵を返したところで、
「帰るのか?」
突然背後から聞こえた声に驚き、振り向く。
「初めまして」
そこにはいつの間にか異様な姿の人が立っていた。
頭蓋骨がどんな形なのか分からない角張った頭部、白く濁った目が4つもあり、簡素な衣服を纏った人物。
彼はまるで虎杖達がここへ来るのを知っていたかのように一人ひとりの顔を見据える。
「禪院の子、道真の血、鬼切の継承者、呪胎九相図、そして……宿儺の器」
「私には挨拶なしかい?天元」
「!!」
この人が、日本全土の結界の力を底上げしている呪術界の要……!