第21章 ネクストステージ
九十九の言った通り、森の奥には昇降機が設置されていた。
それに乗って更に深く降りると、森の風景から一転して石造りの空間が広がる。
先程の森も驚きだが、高専の地下にこんな空間があったとは。
昇降機から出ると、床に古い血痕が残されているのに虎杖が気づいた。
「血痕……?何かあったのかな」
こんな場所に人が来るのも珍しいだろうに……と不思議に思っていると、前を歩く九十九が呟く。
「12年も前の話さ、今思えば全ての歪みはあの時始まったのかもしれない」
12年前の出来事……
この中では九十九しか知らない星漿体の殺害だ。
当時は特に異常な事態は起こらなかったため、星漿体との同化は果たされたのだと考えていたが……
「天元は500年に一度、不死の術式の初期化のために“星漿体”という自らと適合する人間と同化し、肉体の情報を書き換えるんだ。だが12年前、同化前に星漿体が殺されてしまった。それはその時の血痕だよ」
厳密に言えば、ここは星漿体殺害の現場ではなく、おそらくこの血痕は星漿体の付き人のものだ。
星漿体が殺されたのは本殿の中、本当にあと一歩というところだった。もしそこが当時のままなら戦いの痕も残っているかもしれない。
九十九は迷わず石造りのトンネルの一つを指す。
「さぁ皆、本殿はこの先だよ」