第21章 ネクストステージ
真希は視線を伏黒に移す。
「恵、天元様の結界の話は?」
「それは……」
「俺から話そう」
脹相が背後から伏黒の肩に手を置いた。
「扉から薨星宮の途中には高専が呪具や呪物を保管している“忌庫”があるな。そこには俺の弟達、膿爛相(のうらんそう)・青瘀相(しょうおそう)・噉相(たんそう)・散相・骨相・焼相の亡骸が在る」
以前真人は目印をつけた宿儺の指をわざと高専に回収させ、交流会に花御が乱入して騒ぎになっている隙にその目印の気配を辿って忌庫から宿儺の指と脹相達、呪胎九相図を盗み出した。
今回はそういった目印はないが、忌庫に残された弟達の亡骸は脹相にとって目印となり得る存在だ。
「亡骸でも6人も揃えば、俺の術式の副次的効果で気配くらい分かるはずだ」
「Good!」
暗礁に乗り上げていた事柄に道筋がつき、九十九は親指を立てる。
「……それはいいとして、コイツは誰だ?」
真希が怪訝そうに脹相を見据えて尋ねた。
こんな状況での初対面なので、真希の反応も尤もだ。
しかし脹相を連れてきた4人は、なんと説明したものかと互いの顔を見合わせて沈黙。
「とりあえず俺の……兄貴ってことで……」
虎杖が渋々口にした返答にピーンと脹相に衝撃が走る。
「悠仁ーっ!!」
「行こう」
気にしないでくれ、と虎杖は出口へ皆を促していた。