第21章 ネクストステージ
乙骨、伏黒、なずなは虎杖と脹相を連れて高専に戻った。
高専の地下室、以前虎杖が映画鑑賞の修行をしていた部屋に入ると、ソファに座る九十九とその少し後ろに立つ真希がおり、2人ともこちらに気づいて目が合う。
「久しぶり……って訳でもねぇか」
「……真希先輩!?」
顔と両腕に大きな火傷痕、右目はまだ包帯に覆われ、髪も短くなっている真希の姿に虎杖は驚愕する。
そしてその後ろでひらひらと手を振る九十九に肩をすくめた。
「あ、ども」
真希が動けない程の大怪我で病院にいると聞いていた乙骨は瞠目する。
「真希さん!もう動いていいの?」
「応、問題ねぇ」
その会話の横から九十九が入ってくる。
「火傷は仕方ないさ。反転術式でも痕は残る。でもさすがは天与呪縛のフィジカルギフテッド、最後の最期で呪いへの耐性ではなく、生来の肉体の強度が生死を分けた。当主のことは残念だったね」
「……別に競ってた訳じゃないっスよ」
真希は小さく息を吐き、亡くなった直毘人を思う。
思い返してみれば、直毘人は真希を無視することもなくちゃんと話ができた。
他の禪院家の術師では考えられないことだった。
……今更気づいたところで仕方ないのだが。