第21章 ネクストステージ
ちょうどその時、暗闇から顔を浮かび上がらせるように脹相がぬっと現れた。
「その“隠す”結界とやら、なんとかなるかもしれんぞ」
聞いてたんですね、と腰を上げる乙骨とは対照的に伏黒は若干身を引く。
「脹相、どういうことだ?」
「以前真人が宿儺の指と俺達呪胎九相図を盗み出しただろう。それと同じことをする」
「あ、あの……あなたは?」
なずなが突然現れた脹相に戸惑いながら尋ねた。
虎杖と乙骨の反応から一応敵ではないらしいが、初めて見る顔なのとただの術師ではない気配に安心できない。
伏黒も怪訝そうな視線を向けており、警戒感を強めていた。
一方脹相は虎杖の同級生、つまり弟の友達に悪印象を与えてはいけないと変な方向に意気込んで声高に宣言する。
「俺は、悠仁のお兄ちゃんだ!」
「え、っと……?」
虎杖に兄がいるなんて聞いたことがない。
しかも術師の兄なんて……
そもそも虎杖は今年の6月まで呪術界とは接点が全く無かったはずなのに……?
混乱を来たすなずなは思わず虎杖を見る。
視線を向けられた虎杖はなんともいえない表情だった。
「あー……いろいろあって協力してもらってるっつーか、なんつーか……まぁ、味方だから心配しないで」
気にしている余裕がないのでそのままにしているだけで、虎杖自身もなぜ脹相が突然自分の兄と言い出したのか分かっていないのだ。