第21章 ネクストステージ
それを確認した虎杖は伏黒の方を向く。
「伏黒、俺は何をすればいい」
「まずは高専に戻って天元様と接触する。獄門疆の封印の解き方、加茂憲倫の具体的な目的と今後の出方……」
死滅回游は未曾有の呪術テロ。
事態を収拾するにはこの2つの回答がマストだ。
「この問いかけに答えられるのは天元様しかいないと思う」
「あの人は……九十九さんは知らねぇかな?」
「九十九さんとはもう話した。これはあの人の案だ。あの人は今、高専に潜伏してる」
「潜伏?」
「九十九さん、上層部が嫌いみたいで、関わりたくないらしいの」
なずなの返答に虎杖は九十九と別れる直前の言葉を思い出す。
自分は虎杖達の味方ではない、と確かに言っていた。
「問題は天元様の“隠す”結界なんだ。シャッフルが繰り返される1000以上の扉の内1つだけが天元様のいる薨星宮へと繋がっている」
「それを引き当てなきゃ天元……様に会えねぇわけか」
虎杖は考えるように目を閉じた。
「……ごめん、やっぱ今聞くわ」
「?」
「釘崎はどうなった?」
―虎杖、皆に伝えて―
―悪くなかった―
そう告げて虎杖の目の前で魂の形を変えられ、側頭部を潰されてしまった野薔薇。
応急処置を施した時点で呼吸も脈も止まっており、助かる可能性はゼロではないが、あまり期待するな、と。
その質問に伏黒は眉を寄せて包み隠さず事実を伝える。
それを聞いた虎杖は思わず拳を握りしめていた。
「そうか……分かった……!」