第21章 ネクストステージ
「ここで言っている術式覚醒した泳者は夏油が遠隔で無為転変を施した者と呪物を取り込ませていた者だろう」
「術式の剥奪っていうのは?」
「文字通りだ。私も正確に何が起こるとまで言えないが、殺し合いをさせる意図があるんだ。剥奪されれば死ぬと見ていいだろう」
確かにそれなら夏油にマーキングされていた1000人は殺し合いをせざるを得ない。
「でもたったこれだけの情報で動くのはまだ危険だ。やはり天元にもいろいろ聞いておきたい。乙骨君にも協力してほしくてね」
『分かりました』
「助かるよ。じゃあ早速……」
「うぅ……っ」
九十九が言いかけたところで堪えきれなくなったなずなが嗚咽を漏らした。
「虎杖くん……っ」
「渡辺、泣くな……」
伏黒が優しく肩を抱くが、その伏黒本人も悲痛そうに顔を歪めていた。
そのやり取りが聞こえたのか、電話口の乙骨は慌てたように言う。
『な、泣かないで!?大丈夫、渡辺さんが思ってるようなことにはなってないよ』
「ぇ……?」
どういうこと?
『まだ気を失ってるけど、虎杖君は生きてるよ』
「ほ、本当ですか!?」
『うん、今、銀座にいるんだ。虎杖君、高専に戻れないって言ってたみたいで……目を覚ましたら説得しようかと思ってる。渡辺さんや伏黒君もいると説得しやすくなると思うんだけど……』
「銀座のどこですか?すぐ行きます」
即座に伏黒が居場所を聞くと、なずなも力強く頷いた。
「私も行く!」