第21章 ネクストステージ
「俺が用あんのは恵君やから、ぶっちゃけ君の生死はどーでもええねん。でもチョコマカされんのもアレやし、とりあえず足でも折っといたろかな」
「伏黒に何の用だよ」
「死んでもらお思て。その前に一筆書いてくれると助かるねんけどな」
虎杖が睨むとほぼ同時に男は虎杖と脹相の間に降り立っていた。
速っ―……
「恵君、君を探してるんやって」
虎杖は顎を殴られ、応戦した脹相の打撃も捌かれる。
虎杖は怯まず拳を振り向ける。
当たると確信したが、そこには既に男はいなかった。
いつの間にか対向車線に移動している。
「速いっちゃ速いんだけど、なんか変だな」
「術式だろうな」
ただ速いというには少し見え方に違和感を覚える虎杖に脹相が答えた。
「思ったよりやりよるんやね、正直ナメてたわ」
器はまぁ分かるとして、隣のは何者や。
「もうちょい速うしてみるか」
目を細めた男が動き出そうとした瞬間、ぬるりと重い呪力の気配がした。
虎杖が思わず背後を振り向く。
五条先生!?
いや、もっと不気味な……
「あれ?1人じゃないんだ」
道路を挟んだビルの上、白い高専の制服の男がいる。
「……誰だ?」
その者が虎杖への殺気を隠そうともしていないのを感じた脹相は、先程金髪の男が言っていたことを思い出す。
悠仁の死刑、その関係者でほぼ間違いない……!
その人物は背負った刀を抜き、ビルの上から近くのガードレールに降りてくる……と思ったら、着地と同時にガードレールと道路が崩れ、ビリビリと呪力が伝わってきた。
「誰が、虎杖君の、何?」
「やはり悠仁の死刑執行人か」
脹相が虎杖を庇うように前に出る。