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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第21章 ネクストステージ



隅田川にかかる勝鬨橋。


虎杖がその上で手を叩くと川から水飛沫が上がり、大型の呪霊が飛び出してきた。

目に見える範囲で5体、わざとそれらの視界に入るように道路を走り出す。


少し走って見えてきた陸橋を降り、地下を走る自動車道に入る。



呪霊がそれを追って、狭い場所に入り込んだところを待ち受けているのは脹相。

「穿血」

鋭い血の一閃が縦に並んだ呪霊の頭をまとめて貫いた。




1体だけ穿血を免れた呪霊がいたが、そちらは虎杖が一撃で殴り飛ばして祓う。


強すぎず弱すぎず、絶妙な呪力操作で繰り出された一撃に脹相は目を見張った。


凄まじいな……

俺と闘った時はパワフルな印象だったが、今はそこに繊細さが加わっている。

澱みない呪力操作、桁違いの膂力。


鬼神と言うべき強さだが、更に驚くべきはこれがまだ全快ではないということ。

こんなに強い弟がいることが誇らしい。


「流石俺の弟だ」

「まだ言ってんの?」

「何度でも言うさ。思い出せ、オマエの父の額にも縫い目があったはずだ」


うっすらとしか記憶のない父親のことを言われてもそんな細かい所まで思い出せない。



深く考えても仕方ないので、また呪霊を誘き出すため橋に戻ろうとしたその時―



「恵君、おらんやん」





陸橋の上に着物姿の金髪の男が立っていた。


「俺が一番乗り?そんなことあんの、トロすぎへん?」


気配からして術師だろうが、虎杖は知らない顔だ。
伏黒の名前を言っていたのも気になる。


周囲を探り、目当ての人物がいないことを確かめた後、男は虎杖達の方に視線を向けた。


「君らも何してん、目立ちすぎやで、逃げる気ないん?」

「逃げる?」

「何や知らんのか。君、死刑やって、悟君の後ろ盾がのうなったから」

「あっ」


脹相が眉をひそめる隣で虎杖ははたと思い出す。


―五条サンが利かせてた融通で救われていた術師が数多くいる―


五条が封印されたらどうなってしまうか、その危機感を露わにした猪野はそう言っていた。

まさかこんなに早く動き出してくるとは。



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