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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第21章 ネクストステージ



呼び立てて悪かったな、と謝った真希に今度はなずなが質問する。


「あ、あの、真希先輩」

「ん?」

「その……禪院家の方々は伏黒くんが当主になることに納得してるんですか?」


いくら禪院家の血を引き、相伝の術式を持っていると言っても、本人が以前言っていた通り、伏黒は禪院家との関わりが薄い。

そんな彼がいきなり当主となるのは、部外者のなずなから見ても無理があるように思えるのだ。


渡辺家のように人の意思を介さない存在が当主を選ぶのであれば、多少不公平であっても明確な不満は出にくい。


だが、禪院家はそうではない。

当主選定には必ず人の思惑が介在し、その選定に無理がある程、不満は大きくなる。

もし禪院家内部でこのことを不満に思う誰かがいれば、その者が暗殺者を差し向けることだって考えられる。

極論、伏黒がいなくなれば次の当主の選定は、今生きている者の思惑を反映できるのだから。



「この遺言の開示は禪院家の次期当主に近い3人が揃った場で行われたが、開示後に特に抗議は出なかったらしい……それに前当主の遺言は絶対だ。覆そうと動けば立場が悪くなる」


たとえ伏黒を排除したとしてもその者が次期当主となることはあり得ない。

胸糞悪いことこの上ないが、これほどの抑止力もないのだ。


「だからその辺りの心配はいらねぇよ」



確かに真希の言うことも尤もだが、それでもなずなの胸騒ぎは収まらなかった。



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