第21章 ネクストステージ
直毘人が遺した遺言、その但し書きは直哉にとって到底納得できないものだった。
更に扇と甚壱の態度も直哉を苛立たせた。
「やっぱアカンわ、タマなしや、あの2人。よぉ知らんガキが当主になっても俺よりはマシやとなんもせん気や」
遺言状の読み終わった後、2人はただ頷いただけだった。
直哉が当主になるのが余程気に食わないらしい。
不機嫌を隠しもせず、後ろを歩く真希と真依の母親に問いを投げる。
「恵君は今どこで何してるん?」
「詳しくは……ただ、東京で虎杖悠仁捜索の任に当たっているそうです」
「誰やねん」
「例の宿儺の器です」
「じゃあ上の人に伝えとき。禪院直哉が宿儺の器殺したるって」
「!?」
「恵君は宿儺の器のとこにおるんやろ?」
背後で足が止まる音がしたが、直哉は歩き続ける。
「2人まとめて殺したる。今の渋谷は魔境や、人がいつ・どう死んでも関係あらへん。殺してまえば、後のことはどうとでもなる」
少し前までのおどけた様子は一切なく、その眼光には明確な殺気が宿っていた。
「禪院家当主は俺や」
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