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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第21章 ネクストステージ



「……そうか、可能性としては十分考えられるね」


津美紀の話を聞いた九十九が腕組みした。


「まだその殺し合いがどんな風に行われるのか不明だ。君の姉を助けるためには情報が足りない」


ひとまず夜が明けたら真っ先に津美紀の入院先に彼女が目を覚ましたかどうかを確認することになる。




歯噛みする伏黒を心配しながら、なずなは更に質問した。


「で、でもそんなことで殺し合いまでするんですか?」


力を与えただけで殺し合いが起こる程、日本人は困窮していないはずだ。
それに日本の人口は約1億人、その中のたった千人程度のスケールの話。

無為転変と呪物の解放から殺し合いになるまでが飛躍しすぎて繋がる気がしない。


「夏油はそれについても抜かりないと言っていた。無為転変以外にも何か仕掛けをしてるんだと思う。東京に多数の呪霊を放ったのも、単に逃げるためだけではなかったのかも」


夏油はこうも言っていた。


彼が配った呪物は千年前からコツコツ契約した術師達の成れの果て、しかし、彼と契約を交わしたのは術師だけではなかった。



呪霊操術を使う夏油の肉体を手に入れた時にその契約は破棄したとも。


―再び、呪術全盛の平安の世が始まる―



無数の呪霊を放った夏油はそう言い残して、獄門疆を持ち去り、姿をくらませた。





「今分かっているのはこのくらいだ。話した通り圧倒的に情報不足。私は天元がこの辺りの情報を持ってるんじゃないかと思ってる」

「天元様が?」

「ああ、天元は夏油の中にいる術師のことや今回何が起こっているかを知ってるんじゃないかな。問題はどうやって彼に……」

「た、大変です!!」


九十九の話の途中で新田が慌てて部屋に入ってきた。

まだ怪我の程度が軽かった新田は渋谷の被害状況を上層部に報告していたのだが、その最中、総監部からの通達を受けた。

非常に理不尽な通達内容だったが、新田に反論する術はなく、せめてもと慌ててこちらに来たのだ。



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