第21章 ネクストステージ
「オマエ達、一旦高専に戻るぞ」
一般人の避難がひと段落した頃、術師達は救護所に呼び出され、夜蛾にそう告げられた。
さすがに東京に溢れた呪霊を掃討するには術師の手も準備も足りず、始めから渋谷に入っていた術師は疲労も溜まっているため、撤退も致し方ないという判断だった。
救護所には新たに歌姫、加茂、西宮と長身の金髪女性がいる。
伏黒もなずなも見たことのない人物だ。
それは真依と三輪も同じのようで疑問符を浮かべてお互いの顔を見合わせている。
「自己紹介がまだだったね、私は九十九 由基」
そんな疑問の視線を感じ取ったのか、九十九が口を開いた。
伏黒達も名前を知っている人物なだけに驚きを隠せない。
九十九は世界から呪霊を無くす、つまり人類の呪力からの“脱却”を目指して飛び回っているのだと言う。
「今回の黒幕、夏油傑は無数の呪霊を放ち、獄門疆を持ち去ってしまった。ここで無闇に呪霊を狩り続けても消耗するだけだ。だから一時撤退を提案した」
「じゃあ五条先生は!?」
「すぐには取り返せなくなってしまった。これもなかなか厄介だが、今はもっとまずい事態が起きている。それを話そうと思ってね」