第20章 10月31日 渋谷にて
とりあえず家入は東堂の治療のため、奥の部屋に入っていった。
その間になずな達は真依と三輪から渋谷の状況を聞いていた。
黒幕の夏油がツギハギ呪霊を取り込んだこと。
彼はかつて史上最悪の術師と言われた加茂 憲倫と同一人物だったこと。
それも数ある名の一つに過ぎず、肉体を転々としているらしきこと。
日下部、歌姫、加茂、西宮、パンダ、虎杖は渋谷警察署宇田川交番跡で現在も交戦中ということ。
夏油の他に氷を操る呪詛師がいること。
更に高専の呪術師ではないが、赤血操術を使う者が夏油と敵対していたこと。
そして、109付近を壊滅させたのは宿儺で間違いないということも……
「で、でも虎杖くんはもう戻ってるんですよね……?」
宿儺から肉体の主導権を取り返し、夏油と戦っているなら、もう心配はいらないはずで……
「……言いたかないけど、例え夏油を倒したとしても、虎杖が何らかのペナルティを受けるのは避けられないんじゃない」
腕組みした真依が苦い顔をする。
上層部は虎杖を処刑したがっている。
宿儺が表出し、被害を出したのは絶好の口実だ。
しかも五条は封印されていて不在。
そんな中で上層部が虎杖の死刑の即時執行を命じれば、それを止められる者は誰もいない。
あとは誰が執行人となるかという問題だけ。
重い沈黙が降りる中、いよいよ10月31日が終わろうとしていた。
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