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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



あと少しで日を跨ぐというところで家入も救護所に戻ってきた。

できる限りの処置を施した野薔薇はまだ予断を許さない状況らしい。
無事に目を覚ましたとしても、何らかの障害が残る可能性があるとも。






しかし、感傷に浸っている暇はなかった。


家入が戻ってきたのを見計らったように京都校の術師達が連れてこられたのだ。


だが、これまでに救護所に運び込まれてきた術師達とは少し状況が違う。


真依、三輪には大きな怪我はなく、むしろ真依に至っては「まだ戦える」と言い張っている。



唯一東堂だけが腹部に強烈な打撃痕、更には左手の手首から先を失っており、激しい戦闘があったことを物語っていたが、こちらもしっかりと意識はあった。


そして何より、この3人を連れてきた人物、気配からして術師だろうが、初めて見る顔だ。
服装からも高専関係者ではないことが見て取れる。



「何者だ?」


夜蛾が厳しい口調で誰何すると、その人物は肩をすくめた。


「我々はあなた方の敵ではありません。九十九 由基の指示でこの者達をここへ送り届けただけです。……では」


結局名乗りもせずに背を向けてそそくさと去ってしまった。





九十九 由基―

五条や乙骨と同じく特級呪術師に名を連ねるが、高専には属さず、海外を放浪している術師だ。

現在の呪術界のあり方を嫌い、任務もまともに受けない彼女がなぜ渋谷に……?


それに東堂達を連れてきた謎の術師は“我々”と言っていた。
複数でここに来ているのか?


ますます目的が分からない。



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