第6章 真昼の逃避行
「落ち着いた?」
「うん、ありがとう、野薔薇ちゃん」
「じゃ、まずはそのひっどい顔をなんとかしなさい!服も!昨日から着替えてないんでしょ?」
ひとしきり泣いた後、野薔薇にシャワー室に押し込められ、ボロボロの制服をジャージに着替えた。
「野薔薇ちゃんはジャージ着ないの?」
「あー、持ってないのよ。中学のジャージ、ダサくて着たくないから実家に置いてきちゃったし」
上京してから新しいものを買おうと思っていたが、なんだかんだと忙しくて買えずに今まで過ごしてしまった。
グラウンドに出ると、真希、パンダ、狗巻の3人が準備運動をして待っている。
「あれ?伏黒がいないわね」
参加すると即答だったので、先に来ているかと思ったが、2年生3人しか見当たらない。
「昨日の任務報告だと。すぐ戻るって言ってたぞ」
野薔薇の疑問にパンダが答える。
「あの、姉妹校交流会のこと、野薔薇ちゃんから聞きました……私も参加させてください」
先輩達に頭を下げる。
虎杖の最期の言葉を聞いて自分だけ置いてけぼりになるのは耐えられなかった。
私も、強くなりたい。
「よし、じゃあまず野薔薇は受け身の練習だな。なずなは真希と訓練するか?」
「いや、私は恵を見る。まずは恵と野薔薇の近接戦をなんとかしたいからな」
まずまず近接戦闘ができるなずなは他の面子と連携できるようにしたいが、とりあえず後でも大丈夫だ。
「そんじゃ、キャシィだな」
聞き慣れない名前になずなは首を傾げる。
……キャシィ、って誰……?