第20章 10月31日 渋谷にて
私、寒い……のかな……
……手が、あったかい……
息も……少し前よりしやすい。
痛いのかどうか、分からない……
私、何してたんだっけ……?
伏黒くんを探してて、でも呪詛師に邪魔されて……
でも、どうしてもその呪詛師を斬れなくて……
一度気を失って、気がついたら伏黒くんがいた……
なぜか伏黒くんに謝られて、その後すぐに伏黒くんが怪物のような式神を呼んだ。
でも、それは完全に制御から外れていて、伏黒くんを……
伏黒くんを、殴って大怪我を負わせた……!
怪物を倒そうとしたけど、
領域に閉じ込めることまではできたけど……
一撃で仕留められずにすぐ領域が解けてしまった。
もう一度領域展開しようとしたけど、間に合わなくて……
……そうだ、私、
伏黒くんを……
助けられなかったんだ……
……あれからどうなったの……?
私、死んだの……?
でも、左手を包む温かい感触は妙に現実味があった。
それだけが自分を現実に留めているような、そんな心持ちがした。