第20章 10月31日 渋谷にて
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周囲を焼き尽くす威力で行われていた炎の撃ち合いは既に決着していた。
宿儺は漏瑚が燃え尽きるのを眺めている。
するとその背後に人が。
「宿儺様」
その人物は宿儺を前に恭しく頭を下げる。
「誰だ」
宿儺が振り返って誰何する。
頭を下げているのは着物姿の白いおかっぱ頭、白髪の一部が緋色に染まっている。
「……裏梅か!!」
「お久しうございます」
それは宿儺がよく知る人物だった。
裏梅が口を開こうとすると、異質な呪力が届いた……と思ったら別の呪力に塗り変わり、直後にまた元の異質な呪力に戻った。
当然それは宿儺も感じ取り、呪力の発生源と思しき場所に目をやる。
急に視線を変えた宿儺に裏梅が首を傾げた。
「宿儺様?」
「急用だ」
「……左様で」
「俺が自由になるのもそう遠い話ではない。ゆめ準備を怠るな。またな、裏梅」
「……御意に」
宿儺が去った後も裏梅はその場で頭を下げていた。
「お待ち申しております」
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