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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



シトシトと雨が降り始めた―……


足元は薄い水溜りが広がり、上空には灰色の雲が立ち込める。
周囲ははっきり見えているのに、景色の奥に霧に包まれたかのように朧げな構築物がある。
それが何かは分からない。





不思議な世界だった。


落ちる雨粒が丸く見える。
本来なら残像でこんな風には見えないはずなのに。

でも雨粒がゆっくり落ちているわけではないことはなんとなく分かった。



それに音も。

雨が降り落ちる音も妙にハッキリと聞き分けられる。
よく耳をすませば、どこに落ちているかまで分かりそうなくらい。







……違う。


私の目が、耳が著しく強化されてるんだ。


ここは私の領域内。
普段の身体強化術式、それが更に強化され、領域内での身体能力の向上も上乗せされている。

私の術式は相手に作用するような効果がないから、全ての効果が自分自身に乗ってくるんだ。



そこまで理解し、少し離れた場所にいる魔虚羅に鬼切を向ける。



これなら戦える。
きっとあの怪物にも攻撃を当てられる。


それに、これなら游雲で特級呪霊を祓ったあの人みたいに動けるかもしれない……!




思い出せ、特級を圧倒したあの立ち回りを!!



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