第20章 10月31日 渋谷にて
「なんで五条家と禪院家が仲悪いか知ってる?」
「そもそも仲悪かったんですか?」
「もーバチバチよ」
それは伏黒も肌で感じていた。
だが、何もなく初めからここまで敵対的なのは少し疑問だ。
「江戸時代?慶長?忘れたけどそん時の当主同士がね、御前試合で本気で殺り合って両方死んだの」
「その時の術師って……」
「僕と同じ六眼持ちの無下限呪術使い」
やはり何もない訳ではなかった。
しかし、そうなると新たな疑問が出てくる。
今目の前にいる呪術師最強と同じく六眼を持ち、術式も同じ……当時の禪院家当主はそんな術師を相討ちにまで持っていける人物だったということ。
一体どんな術式を持っていたのか……
すると伏黒の疑問を読んだかのように五条が薄く笑った。
「ちなみに相手の術式は恵と同じ“十種影法術”」
「!!」
「僕の言いたいこと分かる?」
サングラスの奥に見える青い瞳、五条は面白そうに目を細め、その六眼に伏黒の姿を映していた。
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「だからって、アンタに勝てる術師になれるかよ……」
その当主もこういう使い方をしたんだろうな。
対する重面は伏黒の意図を理解しきれない。
「ブツブツブツブツ、もういいね?」
とその時、ドゴゴゴゴと凄まじい音と地響き。
そして数ブロック先のビルが赤々と燃え上がり、崩れていった。
炎の熱気とそこに乗せられた呪力がここまで感じられる。
「ははっ、誰だよ、派手だなぁ」
ビルの方を振り返った重面を、続きだと伏黒が呼び止めた。