第20章 10月31日 渋谷にて
炎に包まれた巨大な隕石が日下部達にも見えた。
弾かれたようにその場を離脱する。
が、
「何処へ行く?」
日下部達の退路に呪詛師が立ち塞がってきた。
「何をしてるのあなた達!もうそれどころじゃ」
真奈美が咄嗟に忠告するが、日下部も加減してられない。
『抜刀』で走り抜け様に3人の呪詛師を切り伏せ、包囲網に穴を空け、背後を振り向く。
「聞け、呪詛師共!なんでか知らねぇが、特級同士が殺り合ってる!」
こんなところにいたら十中八九巻き込まれて死ぬ。
戦っている場合ではない。
この場所から一刻も早く、可能な限り離れなければ。
「蟻んこの上で象がタップダンス踊ってんの!一応言っとくけど、俺達が蟻な!さっさと逃げ……」
しかし、もう遅かった。
「ならん」
焦る日下部とパンダの間にいつの間にか宿儺の姿。
日下部もパンダも対峙していた祢木や真奈美も息が止まる。
「これより四方一町の人間全員、俺が『よし』と言うまで動くのを禁ずる。禁を破れば勿論殺す」
その間も隕石はどんどん近づいてくる。
「イタドリくぅーん……?」
パンダが呟くが、宿儺は相変わらず口元に笑みを浮かべて落ちてくる隕石を眺めている。
「ケヒッ、ヒヒッ、まだだぞ。まだ」
「まだだ」