第20章 10月31日 渋谷にて
日下部達が見ている先、破壊されたビルには漏瑚が叩きつけられ、更に宿儺が追撃を入れようとしていた。
完全に肉体を自由にできる戦闘などいつぶりだろうか。
己の手で潰し、切り裂き、破壊することに高揚して仕方ない。
「そんなものか!?呪霊!!」
「まだ……まだぁ!!」
炎を差し向ける漏瑚の両腕が切り刻まれ、頭を打たれ、その頭を近くのビルの屋上に叩きつけられた。
宿儺は漏瑚の頭を掴んだまま7階程床を貫き、地上まで突き落とす。
「月明かりが通ってるな。おかげでオマエの痴態もよく見える」
一条の月明かりに照らされた漏瑚は砕けた顎を手で押さえているが、血が止まらない。
―儂は宿儺の指何本分の強さだ?―
―甘く見積もって8、9本分ってとこかな―
夏油との会話が脳裏に浮かぶ。
分かっていた……
分かっていたことだ!
だがここまで……!
「ほら、頑張れ頑張れ。俺が飽きるまで何度でも付き合うぞ?」
宿儺が目を細め、更に攻撃を強めようとするのに合わせ、漏瑚が周囲に炎を走らせる。
ビル内に爆炎が上がり、宿儺は少し距離を置いた首都高速に降りた。
そこに上から漏瑚が狙いを定める。
「極ノ番“隕(イン)”」