第6章 真昼の逃避行
目の前で始まった漫才のような光景に野薔薇はついていけない。
いや、それよりこの人達(?)は誰なのか。
隣にいる伏黒に聞いてみる。
「2年の先輩。眼鏡かけてるのが禪院先輩、呪具の扱いなら学生一。口を隠しているのが呪言師の狗巻先輩、語彙がおにぎりの具しかない」
伏黒は気まずそうにしている真希の隣にいるパンダに目を向ける。
「パンダ先輩。あともう1人、乙骨先輩って唯一手放しで尊敬できる人がいるが、今海外に出張中」
「……アンタ、パンダをパンダで済ませる気か」
野薔薇としては海外にいるという乙骨より目の前で喋るパンダの方が謎だった。
パンダが2人に向き直り、許してと手を合わせる。
「喪中に悪いな。実はオマエ達に京都姉妹校交流会に出てほしくてな」
「京都姉妹校交流会?なにそれ?」
初めて聞く言葉に野薔薇は疑問符を浮かべる。
「京都にあるもう一校の高専との交流会だ。でも2、3年がメインのイベントですよね?」
「3年のボンクラが停学くらって人数が足りねぇんだ。だからオマエらも出ろ」
「それって何するの?」
交流会、親睦を深めるためにゲームとかをするのだろうか。
「交流会は呪術高専の東京校、京都校それぞれの学長が提案した勝負方法を1日ずつ、2日間かけて行うんだ」
「つってもそれは建前で、初日が団体戦、2日目が個人戦って毎年決まってる」
「しゃけ」
「個人戦、団体戦って……呪術師同士で戦うの!?」
「ああ、殺す以外なら何してもいい呪術合戦だ」
真希はニヤリと笑う。
「逆に殺されないようみっちりしごいてやるぞ」
押忍、押忍と拳を突き出すパンダ。