第20章 10月31日 渋谷にて
避けたと思った攻撃がザクリとなずなの左脚を切りつける。
そしてすかさず重面の呪具が足に突き刺さり、地面に縫い止められてしまった。
「捕まえた!」
重面は嬉々としてなずなの首に手を掛ける。
その細い首を絞める訳でもなく、首に付着した血をぬるりと指で拭い、傷を確かめた。
「あれ?傷治ってるの?通りで普通に動いてるわけだっ」
ドカッ
「ゔっ……!」
呪具が突き刺さっている左足を踏みつけられ、激痛で涙が滲んだ。
「ねぇ、こうやってても治せるの?」
「ああっ!」
傷口を抉るように踏みつける足を動かしながら尋ねる重面は楽しくて仕方ないといった表情だ。
なずなは逃げるに逃げられず、痛みに呻くことしかできない。
「ねぇ、ねぇってば!」
「ぅあっ……!」
答えられないなずなの髪を掴み、地面に頭を打ちつける。
なずなの額から出血するのを見て、重面はますます笑みを深めた。
一方的に弱者をイジメるのは楽しい。
しかもこの子は傷を治せるから長いこと楽しめそうだ。
逃げたり反抗しないように手足を縛ってちょっとずつ切ってやろう。
指とか切り落としたら生えてくるのかな?
目を潰したらどんな風になるんだろ?
更に数度頭をぶつけてやると、地面に赤い血が花のように広がっていく。