第20章 10月31日 渋谷にて
同刻 文化村通り 道玄坂2丁目東(帳内)
ハロウィンの仮装をした一般人達が帳の壁を叩き、「どうなっているんだ?」「なんで通れないんだ!?」と騒然としていた。
「早く五条 悟を連れてこい!!」
「五条って誰だよ!?」
「知らねぇよ!でもソイツが来ねぇと出られねぇって言われたんだよ!!」
「誰に!?」
「知らねぇよ!誰だよ!!」
彼はかれこれ1時間程、渋谷駅周辺を彷徨っているが、壁のようなものに周囲を囲まれ出られず、仕方なく外に聞こえているかも分からない声を張り上げている。
そんな様子をやや冷めた調子で見ている仮装した2人組の女性。
彼女達も閉じ込められた側の人間だが、それでも少し冷静だった。
「……こういう時、クールじゃない男ってどうよ?」
「まぁ、通れないのはホラーではあるけど、そこまで困ってないよね?そのうち助けくるでしょ」
「あ、でも圏外!」
そんな彼女達を懸命に壁を叩いていた男が信じられないという目で見る。
「オマエら、見てなかったのか?交差点にウジャウジャいた人間が吸い込まれたんだよ。駅ん中に!栓を抜いた風呂の水みてぇによ!」
「じゃなきゃ俺らだって電車で帰るっつーの。考えりゃ分かんだろ!低学歴かよ!!」
「はぁ!?じゃあ学歴でそこ通れるようにしろや!」
言い争いに発展しそうになるやもというところで、先の見えない暗い壁から突如として手が生え、続いて目隠しをした大きな男が入ってきた。
壁を叩いていた男と思い切り肩がぶつかる。
「あ、ゴメン」
20:31 五条 悟 帳内に侵入