第20章 10月31日 渋谷にて
記録―
2018年10月31日 19:00
東急百貨店 東急東横店を中心に半径およそ400mの帳が降ろされる。
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20:14―
東京メトロ渋谷駅 13番出口側の帳の外の歩道橋の上で、七海、猪野、伏黒の3人が伊地知から状況報告を受けていた。
「一般人のみが閉じ込められる帳です。一般人は侵入のみ、“窓”には個人差が、術師は補助監督役を含め出入りが可能です」
1時間程前に突如として降ろされた帳。
ハロウィンということもあり、渋谷駅周辺には大勢の一般人がいたはずで、その大部分がこの帳に閉じ込められたとみられている。
「電波は?」
「断たれています。連絡は帳を出て行うか、我々補助監督の足を使ってください」
「随分と面倒なことになっていますね」
伊地知の答えに七海はため息をつきたくなる。
今回は一級推薦を受けている猪野、伏黒の昇級査定のための七海同行だ。
他にも何組かが一級術師と共にこの渋谷に動員されている。
七海が伊地知に状況確認をしている間、伏黒は任務に集中しようと頭を切り替えるのに苦労していた。結局、昨夜なずなに告白されてから返事をできていないのだ。
今日がハロウィンということもあり、いつも以上に呪霊が出てそれどころではなかったこと、同じく一級推薦を受けた彼女は、別働班に組み込まれたため顔を合わせていない。