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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第19章 一世一代



それから八十八橋の任務で津美紀が呪殺されるやもと自分1人で残ろうとしたら、普段からは考えられないくらい頑なに自分も手伝うと残ろうとして、最終的に追いかけてきた。


呪霊の結界に入る時に繋いだ彼女の手は小さくてもしっかり努力した証が刻まれていて。


しかし驕ることなく、五条先生に特訓を申し出て、案の定手酷くやられたところを発見し、そこで人に鬼切を向けることは怖いけれど、いざという時に皆を守れるように強くなりたいと打ち明けてくれた。



まだ1ヶ月程しか経っていないというのに、あの頃が懐かしい。





花が綻ぶような彼女の笑顔を向けられることも、照れた時のはにかむ姿も、悩みを打ち明けられることもこの先ないんだろうな。




自嘲していると不意にスマホが震え、虎杖からの着信を知らせた。



「虎杖、なんだ?」

『伏黒さ、今日とか明日とかで空いてる時間ある?』

「今日は泊まりがけの出張だ、明日の夜には戻る。時間帯は……遅くても8時くらいだな」


高専の食堂で夕飯を食べられるか微妙な時間帯のため、外で食べてくることを伝えると、電話口から悩むようなくぐもった声。


『なら明日の、そうだなぁ……夜9時とかに寮の玄関に来てくれ』

「何かあんのか?」

『渡辺が話したいんだって』


その名前を聞いて、伏黒は咄嗟に返答できずに固まった。



あれだけ傷つけたのだから、もう顔も見たくないと思われていてもおかしくないと考えていた。

同じ場所にいれば避けられるだろうということも。


それは彼女が自分を守るための正当な権利のはずで、そうなっても仕方ないことをしたと思っていた。



にも関わらず、話したいと言ってくれるのなら、伏黒側にそれを断る理由などない。


早くなずなに会って先日のことをきちんと謝りたかった。



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