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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第19章 一世一代




「クソッ」


一方、伏黒は任務先で力任せに呪霊を祓っていた。

何をやっていてもなずなへ言い放った酷い言葉の数々、そしてそれらを押しつけられて目に涙を溜め、口を引き結ぶ彼女の顔が頭から離れない。


渡辺は術師として最善を尽くしただけ。その結果、呪霊は祓除でき、任務は達成した。

俺だったら瞬時にあの判断は下せなかった。


それに、単に俺がもっとしっかり渡辺の傍にいれば、少なくとも村人から石を投げられたり、渡辺が自分の腕に火をつけるなんて事態は防げたかもしれなかったのだ。

それなのに八つ当たりのように彼女を責め立てて、挙句の果てに泣かせて……




……最低だ、俺は。









幸いにしてここ連日任務が続き、なずなとは会っていないが、この状況はいつまでも続かない。

正直、考えている時間ももうあまり残されていなかった。


しかし、何か考えようとすると頭の中を廻るのは同じようなことばかり―……


なぜあそこまで一方的に感情をぶつけてしまったのか……



呪霊を祓除した後、まずは労うなり何なりして、反省はその後でということもできたはずなのに、真っ先に自分の苛立ちをぶつけて、全然冷静になれなかった。






ひたすら自己嫌悪していると、次に頭に浮かんでくるのは、交流会後の数々の出来事。


交流会の打ち上げと称してTDLへ遊びに行き、渡辺が意外な一面を見せたこと。

その後、突然彼女と目も合わなくなり、避けられるようになった。

あの時は急に避けられて、そのせいでなぜか無性に苛立って……


電話越しの嫌いになんてならないという言葉に心底安堵して。


なぜ自分を避けるようになったのか、話せるようになったら話すと言われていたが、結局聞けずじまいになりそうだ。


今度こそ本当に嫌われてしまったのだから。



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