第19章 一世一代
高専女子寮の自室―
無垢蕗村からどうやって高専に帰ってきたのか、なずなは思い出すこともできず、先の任務のことをグルグルと考えていた。
ずっと泣いていたような気がするし、呆然としていた気もする。
自分のことも考えろと言った伏黒くんは、痛みを堪えるような顔をしてた。
伏黒くんがたくさん心配してくれていたのに、私がそれを全部無視して危険な行動をしたからだ。
私の身勝手な行動で深く傷つけてしまった。
結果的に無事だったけれど、自分が同じことをされたらどう思うか?
もし伏黒くんが制止を振り切って危ない場面に飛び込んでいってしまったら?
……そんなの、絶対に嫌だ。
少し考えれば分かることだったのに、私、全然考えてなかった。
あんな風に言われても仕方ないことをやってしまったんだ……
野薔薇ちゃんと虎杖くんもずっと慰めてくれたのに、私は泣いてばかりで……
自分の行動が伏黒くんを傷つけ、野薔薇ちゃんと虎杖くんにも心配をかけて……
それなのに、まるで被害者のように泣いている。
そんな自分に嫌気が差してきて、また一粒涙がこぼれた。
……ああ、私って最低……
滲んだ涙を拭おうと目を擦ると、丁寧に袖を折った大きな制服が目に入る。
伏黒くんの制服、洗って返さなくちゃ……
もう私なんかとは口も聞きたくないかもしれないけど……