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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第19章 一世一代



その後、伏黒は任務が続き、顔を合わせない日が数日続いた。
正直、なずなにとってはありがたかった。

教室にしても食堂にしても、同じ場所にいたら、どんな風にしていればいいか分からない。


ただ、洗濯した伏黒の制服は持ち歩いていた。

いつでも返せるようにと思ったのもあるが、自分の部屋に置いたままにしておくのは、なんとなく申し訳ない気がしたからだ。



返すつもりはあるのに、本人に会いたくない。


そんな矛盾した思いを抱え、本日何度目になるか分からないため息をつく。






そして、その同級生の様子を見ていられない者が2人。



「渡辺、あれからため息ばっかだよな、授業も上の空だし、飯も全然食ってねーし……大丈夫かな」

「伏黒にあんなきつく言われたんだもの、そりゃ凹むでしょ」


ただの同級生ならまだマシだったかもしれないが、なずなにとっては密かに想いを寄せる相手からの叱責。


2人もまさかなずなに対して伏黒があそこまで厳しい言葉をぶつけるとは思ってもみなかった。

もっとも、その後謝って離れていったことから、伏黒本人にもそんなつもりはなかったようだが。



「渡辺がずっと持ってる袋、アレ、伏黒の制服だよな?」

「伏黒がなずなに着せたんでしょ、なずながアレ着てる時はちょっとは進展したじゃんって思ったんだけどね」


現場で何があったのか、直接見たわけではないが、任務中に伏黒と合流した時に彼が上着を着ていなかったこと、なずなが呪霊に掴まれた状態で出てきた時に伏黒の制服を着ていたことからなんとなく想像できた。


その時は呪霊との戦闘もあり、気にしている余裕はなかったが、後から根掘り葉掘り聞いてやろうと画策していたのだ。

だが、それもこの様子では到底叶わない。


なずなの性格を考えると洗ってすぐに返しそうなものだが、ずっと持っている所を見るに返そうにも返せないというのが窺えた。



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